価格の弾力性を、モノよりコト消費で解きます。その心は、、

まず最初に、今回はいつもよりクソ長いです。


六月より自分が経営してる渋谷のサロンの価格を上げた。

五年ぶりか六年ぶり?の価格改定である。

現在美容業界に限らずまだまだデフレのスパイラルはとどまることを知らず、低価格の商品やサービスを消費者は求めている。

そんな中、ある意味で逆張りの値上げである。



◼︎今時なぜ値上げするのか?


なぜ、値上げをしたのか?
理由はいくつかあるが、大きな理由は2つだ。

1つはスタッフが成熟したことだ。
美容師という仕事において、「経験」と言うことは非常に大きい。
(もちろん一部若い方でも経験に勝るような何かをもっていて、お客様の支持を得ている人もいる)

その経験というのは仕事の経験はもちろんだけど、人間としての様々な経験の事も言う。

人から支持を受ける人気商売である美容師という仕事で、たくさんの経験をしている言うのは人としても魅力的だ。

うちのお店は幸いな事にスタッフのが長く働いてくれる人が多い。5年オーバーは当たり前で7、8年の人も沢山いる。

そういった中で、お客さんにはより価値の高いものを与えられていると思うので、そのスタッフ達の仕事の価値を考えても値上げは妥当だと思っている。

価格をあげればスタッフ一人一人の仕事に対して対価はあがるし、結果報酬も上がる。

報酬が増えればスタッフのやる気にもつながるし、新たなスタッフも集まりやすい。

更には、うちのお店は女性スタッフも、多いので結婚や出産で働く時間が短くなった子も短時間で稼ぎやすくなるという様々のプラスの要素がある。


あともう1つ。

お店をオープンして10月で10年。

もうリーズナブルなサロンというくくりで、価格訴求で運営していく経営手法は飽きたし面白くない。

そして、これからの時代を考えた時に時代遅れで、いずれ廃れると感じたからだ。

日本経済を考えるとデフレスパイラルは終わったとは思えない。まだ出口は見当たらない気もする。

しかし、人は必ずしも経済合理性に基づいてあらゆる消費行動をする訳ではない。
なぜなら人は感情の生き物、、というより、感情に支配されいる生き物が人間だからだ。



◼︎価格の弾力性ってしってますか?


皆さんは価格の弾力性という言葉をしっているだろうか?

価格を下げると基本的には
モノはより数は沢山売れる。
サービスはより沢山お客さんが来る。

逆に、価格を上げると基本的には
モノの売れる数は少なくなる。
サービスはお客さんが減る。

つまり価格により、販売数や客数が上下するということだ。

そんな事はわかってるだろうが、この価格の弾力性で面白い所が、

ある設定価格は、
価格あげたのに客数が増えたり。

逆に

価格を下げたのに客数が減ったり。

と、複雑な動きを示すのだ。


よりわかりやすく説明すると、

100円のものが100人に売れている。
つまり売り上げが10,000円とする。

これを倍の

200円にして50人に売れたら、おなじ売り上げは10,000円だけど、

200円にしたのに、80人に売れたら売り上げは16,000円で値上げは成功。

200円にしたら、40人しか売れなかったら売り上げは80,000円で値上げは失敗。

値下げの場合はこの逆パターンでより、より多くの客がきて総売り上げが上がれば、成功だという事だ。

しかし、値下げは量が増える分、働く人の数をより増やしたり、働く人の負担が増えたり、結果的に手間が増えるので人件費やその他の経費がかかる。
だから基本的には小規模の会社や店舗ではやるべきではない。

特別な独自の仕組みが構築できていれば良いけど、なかなか大企業でない限りは難しいと思う。

価格を上げることにより安心感が増したり、下げる事によって不安感がでたりとか、様々な人間の心理に作用し価格に対しての購買数は上下する。

ちなみに、うちのお店はここだけの話、価格を上げて新規客は2割強増えた。

そう。
前項で言った通り人は感情で動くのだ。

これは、行う前に結果を予想する事は非常に難しい。

僕個人的には様々な理由で、今回の価格アップの成功は自信はあったけど、うまくいってホッとした。



◼︎価格の弾力性が高い低いの基本概念


低価格化すると、客数が増える美容室は価格の弾力性が高い(価格を下げると集客力があがる)商売だと言われている。

確かに、業界でみるとしょうもない激安店は未だに増え続けている。

しかし、それは美容業界に限らず、飲食、アパレル、旅行、マッサージ、何でもかんでも安い所が支持を受けている。

経営指南書などには、日用品や生活必需品は価格の弾力性が低いものとされている。

生きて行く上で必要なものは高くても買わなくてはならないから、価格に左右されないとの理屈だそうだ。

しかし、ぼくはそれは昔の話で今は違うと思っている。

米や、生活必需品も少しでも、1円でも安いものが売れる。

正価で売ってるところは売れないので、今やコンビニでも値下げが始まってる。
デパートなんぞはセールしか人が来ない状況だ。

生活必需品など、そういったものは主婦が買うことが多い。

女性は日々の細かい出費に対して敏感だ。
低所得者の主婦はもちろん、高所得者の奥さんもすげー家賃の高いタワーマンションに、住んでブランド物で煌びやかに気飾っても何故か生活必需品は1円でも安いスーパーで買うのだ。

女の人の気持ちはぼくにはわからないなー。



◼︎では今の時代価格の弾力性が低いものとは?


と、、、考えると、現在価格の弾力性が低いモノってなんだ?
となる。

これについて、1人でここ最近ずーっと考えていた。

お金を払うあらゆる経済活動において安いに越したことはない。

でも安いのが嫌なことや、安くなく高い金を払いたい事ってなんだ?

と、考えた。
すると、少し見えてきた。


例えばお葬式。
自分の親や大切な人が亡くなって、最後のお見送りを極力安くしたいと思う人は少ないと思う。

それなりに、お金をかけてちゃんと見送りたいと思う。

例えば、ごみ処理場が新たなサービスで亡くなった人の遺体を一手に集めて、週一でごみ処理場の焼却炉で焼いて、その骨はある敷地に埋めます。
墓参りはそこに来て拝めばよし。
墓も買わなくて、葬式もなくて、10,000円ポッキリ。

こんなサービスが、出来たとして流行るかと言ったら多分流行らない。
人間の心情的に無理だろう。
あ。夫婦なありそうだけどww

他には、例としてぼくはこないだ母の日ということで母親を食事に連れてった。

ネットで探して、1人8000円のお店に決めた。
70になる年老いた母親である、今まで金ばっかりせびって来たしょうもない息子からすると、いい思いさせてやりたいと思うし、普段あまり行かないような良い店に行こうとおもってお店選びな訳だ。

しかし、ただ、母親に飯を奢ると考えて、、、
40歳になった息子が、
かーちゃん母の日だからめしおごるぜ!
っていって、

吉野家の牛丼を奢る人はいないだろう。ww

同じような事では夫婦の結婚記念日で、たまには夫婦で食事に行こうと奥さんを誘ったとする。

そして、着飾ってこさせて連れていったのがサイゼリヤだったら、その旦那は奥さんにブチ殺されるだろう。(笑)


◼︎今価格の弾力性が低いものは、「モノ」より「コト」の【コト消費】


つまり、人は
ストーリーや気持ち、感情に関しては惜しみなく金を払うのだ。

昨今

「モノ」消費より、「コト(何かを体験する事」消費

と言われてるが、
価格の弾力性という観点から考えても、この
「コト」消費が高い金を払ってもらえる事は間違いないのだ。

売っているものや、サービスにもストーリーを付けることはすごく大切だ。

例えば、全く同じ肉の5000円のステーキを出す店がある。

片一方の店の記載が、

特上サーロインステーキ 5000円

もう一方の店の記載が、

宮崎県産自然飼育のA5ランク黒毛和牛
特上サーロインステーキ(通常10,000円→特別価格5000円)

とあったとする。
100人に聞いたらほぼ、すべての人が後者を選ぶだろう。

なんなら後者は6000円だったとしても、後者を選ぶかもしれない。

その肉の牛のストーリーと、値下げがされているという、ストーリーに対して金を払いたくなるのだ。

その辺りを踏まえて、例えばヘアサロンの経営で考えると、

「店に行く理由」

美容師さん個人だと

「その美容師さんにお願いする理由」

という、ストーリーを考えるべきだ。それ以外の仕事でも、これからはより、モノが売れる理由、サービスを利用する理由、仕事を依頼する理由。

全てなにかしら理由、ストーリーがある事が消費者からそれなりのお金をいただく上で不可欠だという事だろう。


◼︎これから理由なきものは売れない!安いだけはボチボチ終焉するはず。


そんなこんなで、僕も関わるすべての仕事において、その辺りをよく考えて行く事が重要だなと感じている。

ただ、安くするよりは、それぞれの価値をつけることはミッションのハードルも高く、仕事のやりがいある。

そしてうまくいけばよりお金は稼げる。なんせ単価があがるから。

こりゃ良い事づくめだ。

って事で最近はより仕事にやる気をもって臨んでいる。

しかし、ギリギリ月に10人くらいやっている美容師としての僕。

この美容師としての僕の価値、ストーリーを考えて見た。

ただの記載だと
40歳 オーナー 男性美容師 カット3000円

ストーリーをくっつけると

東京出身、血液型はO型、三人兄弟の真ん中。
3歳で父親は死別。母親は美容師で1人で息子3人育てる。なので昔は貧乏育ち。
昔は有名だった老舗美容室で美容技術は習得。
元DJで元多重債務者、住所不定無職より生還し28歳で企業30歳で独立。現在3つの会社を経営と複数の会社の役員も兼任。
好きな事はグルメ、音楽(ヒップホップとジャズ)、お笑い、歴史、パチスロ
の、40歳 オーナー 男性美容師 カット
と、長々とストーリーをくっつけると、、、どうなんだろう?

知らん人なら8000円とかとれるだろうか?

タダのボッタクリ美容師か。ww
僕は3000円が妥当でしょ。

さてさて、クソ長くなりましたが、
お仕事してる皆さん、今やってることの価値を上げるために、

「コト」

を考えていきましょう。

最後まで読んでくれた方、長々と戯言にお付き合い頂きありがとうございます。\(^o^)/

junpei murakamiの日記

渋谷で会社やお店とかいくつかやってるおっさんが、知ったようなクチを偉そうに語ってます。アホの戯言と思いご容赦ください〜(^o^)

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